2018/06/19

あかね / madder


あかね/ madder


毛羽立つ心に
痣のように残るもの
とある街角で拾った釦
叫びながら駆けていく少女

長い睫毛のきみ
どうやってここまで来たの?
そんな苦しい誤解が

風が吹いてくる
逆光の通路に

ぼくときみの関係
そんなにグレーな風景が
心象にこびりついている

「ラリってばっかいるんじゃないよ」
って喚いてたころ
二階から見下ろすと
コンクリの打ちっぱなしが
ザラザラしていて
青い車が通り過ぎて行ったね

ゆらゆらと揺れる心の影が
そうやってぼくを連れて行く

憂鬱で素敵なインディゴの街へ

透明な三角定規ください!
おいしそうに見えるから
それで胸を刺して
逝けるかも

できたらうれしいわ
だってわたしたちイロだもの
きっとすてきになれるわ
茜色の街に
出て行けるわ
って

砂埃で明るい平和な郊外
そこで過ごした十四年
もう何処かへ行っちまった
 
 

       

   詩集『モザイク板』より








 

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